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冷凍術・レシピ

酷暑を乗り切る新トレンド!話題の「凍らせめんつゆ」が夏の食卓を変える理由と科学のヒミツ

2026年6月11日

こんにちは!冷凍生活アドバイザー・冷凍レシピ研究家の西川剛史です。

近年の日本の夏は「暑い」という言葉だけでは片付けられないほど、過酷なものへと変化しています。それに伴い、私たちの食生活や冷凍技術へのニーズも日々進化を遂げています。

今、食品業界やSNSで大きな注目を集めているのが、めんつゆを凍らせて使う「凍らせめんつゆ(凍らせ調味料)」という新しいジャンルです。今回は、このトレンドが生まれた背景から、今期大注目の新商品、そして冷凍の専門家として外せない「凍らせる調味料の科学的な知見」まで、分かりやすく解説します!

1. なぜ今「凍らせめんつゆ」?長期化する夏と冷たい料理へのニーズ

ここ数年、私たちが実感しているのが「夏の長期化」と「異次元の暑さ」です。実際に、気象庁をはじめとする各種報道でも、日本の気候が以前とは様変わりしていることが指摘されています。

近年の日本の夏における大きな変化を象徴するのが、「酷暑日(こくしょび)」という言葉です。これまで最高気温35℃以上は「猛暑日(もうしょび)」と呼ばれていましたが、近年の温暖化の深刻化と、40℃前後の気温が珍しくなくなった現状を踏まえ、気象庁は「最高気温40℃以上の日」を「酷暑日」と新たに制定しました(気象庁「最高気温が 40℃以上の日の名称を「酷暑日」に決定」)。

このように暑い日が多く、しかもその期間が数ヶ月にわたって長く続くようになると、人々の身体は想像以上に体力を消耗します。その結果、食生活においては「とにかく冷たい料理を食べたい」「食欲がなくてもさっぱりと喉を通るものが欲しい」というニーズがこれまで以上に急増しています。

夏の冷たい料理の定番といえば「そうめん」や「冷やしうどん」ですが、従来のめんつゆに氷を入れて冷やそうとすると、氷をあらかじめ作っておく必要があり、さらに氷がとけて味が薄まり、ぬるくもなってしまうという不満がありました。そこで「つゆ自体を凍らせてしまえば、薄まらずに最後までキンキンに冷えた状態で食べられるのでは?」という発想から生まれたのが、今回の主役である「凍らせめんつゆ」です。

2. 話題沸騰!2026年春夏の注目「凍らせめんつゆ」最新商品

こうした生活者の強いニーズに応えるべく、2026年は大手食品メーカーから画期的な「凍らせ専用」の麺用調味料が相次いで登場しています。

① 味の素:麺用調味料「氷みぞれつゆ」

味の素株式会社からは、冷凍庫で凍らせて揉みほぐして使う、今までにない未体験の温度と食感を楽しめる麺用調味料が発売されました(味の素株式会社 『麺用調味料「氷みぞれつゆ」を2月21日(土)より新発売』)。

この商品は、冷凍庫に24時間以上平らに置いて凍らせた後、袋のまま手で揉みほぐしてそうめんなどにぶっかけて食べるスタイルです。従来、家庭で調味料を単純に凍らせると「一枚岩のようにカチカチに固まってしまい、すぐにほぐせない」という大きな課題がありました。

しかし味の素は、水分子を分散させて凍結する独自の「みぞれ凍結製法」を開発。これにより、冷凍庫から出してすぐに手で割りほぐせ、シャリシャリとした絶妙な食感を生み出すことに成功しています。味種は「かつおだし」と「鶏だしゆず風味」の2種類が展開されています。

【レビュー】「氷みぞれつゆ」冷凍レシピ研究家 西川によるレビュー

この商品を冷凍し、実際に試食をしてみました。冷凍庫から取り出した直後でもカチコチではなく、袋の上からほぐすことができました。ただ、直後はまだ硬いのでほぐすのに少し力が入ります。少し時間を置くか(1〜2分くらい)、袋の表面に少し水をかけると、ほぐしやすくはなります。

そうめんと合わせると、麺がキンキンに冷えます! 氷をそうめんやめんつゆに入れただけでは再現できない、キンキンの冷たさが楽しめるのは良いですね。あと「かつおだし」の商品の方は、商品名の通り、かつおだしの香りと旨みがしっかりあり、そして濃いめのつゆの味わいがとても本格的です。めんつゆとしても本格的な味わいになっています。「鶏だしゆず風味」の商品の方はうま味のあるだしの味わいが強く、ゆずの香りも爽やかですが、個人的には「かつおだし」の方が美味しいと感じました。

あとは麺とシャーベット状のめんつゆを混ぜて食べますが、めんつゆが凍っているので麺と絡みづらいのと、この食べ方が初めての方は違和感を感じるかもしれません。少し水を足して、液体がある状態で食べた方が、普段食べているぶっかけそうめんに近く、馴染みがあると感じます。この商品を活用して、アレンジするのが良いと思います。

アレンジとしておすすめなのは、冷凍したミニトマトと市販の冷凍オクラをトッピング。どちらも彩りが良く、トマトはグルタミン酸がめんつゆとの相性も良いです。ぜひお試しください!

② キッコーマン:「シャリっと冷やそうめん」シリーズ

続いて、キッコーマンからも、凍らせることで夏の食卓を楽しくおいしく演出する新感覚のストレートつゆが発売されました(キッコーマン食品株式会社『「シャリっと冷やそうめん」シリーズ新発売!~凍らせて楽しくおいしい新感覚の冷やそうめん』)。

キッコーマンの「シャリっと冷やそうめん」シリーズは、家庭の冷凍庫で約8時間凍らせるだけで、まるで専門店のようなシャリシャリとしたシャーベット状のつゆが完成するスタンディングパウチの商品です。こちらも氷の結晶のサイズに徹底的にこだわり、家庭では再現が難しかった「なめらかで心地よい凍結食感」を手軽に楽しめるのが特徴です。

【レビュー】「シャリっと冷やそうめん」冷凍レシピ研究家 西川によるレビュー

この商品も冷凍し、実際に試食をしてみました。冷凍庫から取り出して5分くらいがシャリシャリでおすすめ、とのことでしたが、5分だとまだけっこう硬く、ほぐすにもかなり冷たくて手が冷えるので、10分経ってから取り出しました。

質感はかなり滑らかなシャーベット状になっていて、口当たりが良さそうです。このあと麺とシャーベットをしっかりと混ぜて合わせます。

シャーベットがかなり滑らかなので、麺と絡みやすく、混ぜやすかったです。しっかりと麺が冷えて、味もさっぱりとした味わいが良いと思います。個人的には玉ねぎの風味がかなりクセがあると思ったので、肉や卵など他の具材をしっかりトッピングして食べた方が食べやすいとは思います。

3. 冷凍のプロが解説!凍らせ調味料の「科学的知見」

なぜ、味の素やキッコーマンの商品のように、調味料が家庭で綺麗に「シャリシャリ」と凍るのでしょうか。ここからは、冷凍生活アドバイザーの視点から、調味料を凍らせる際の科学の裏側を解説します。

水と調味料の決定的な違い:「凝固点降下」

私たちが普段使う「水」は0℃で凍り始めますが、塩分や糖分が溶け込んだ「めんつゆ(調味料)」は0℃では凍りません。このように、水に他の物質が溶けることで凍る温度(凝固点)が低くなる現象を科学用語で「凝固点降下(ぎょうこてんこうか)」と言います。

溶けている塩分や糖分の濃度が高ければ高いほど、凍る温度はさらに下がります。一般的な家庭用冷凍庫の温度はマイナス18℃以下ですが、あまりに塩分濃度が高い原液のめんつゆ(3倍濃縮など)をそのまま冷凍庫に入れても、凝固点降下によって完全には凍らず、ドロドロとした状態のままになります。

今回紹介した新商品は家庭の冷凍庫(マイナス18℃以下)でしっかり凍るけど、硬くなりすぎずに、適度な柔らかさ・食感になるように塩分・糖分濃度をコントロールしています。もしろん、味わった時に塩辛すぎる、甘すぎる、ということがないよう、味の点も考えられているのが開発の苦労があったと思います。

シャリシャリ感をコントロールする粘性技術

さらに、ただ凍らせるだけでは、「水」の部分だけが先に凍って、部分的に濃い液体が残ってしまう「味のムラ」や、最終的にはカチカチの氷の塊になってしまうという問題が発生します。

これを防ぐために重要となるのが、「増粘多糖類」をはじめとする増粘剤やでん粉分解物などの存在、そしてメーカー独自の技術です。
これらがつゆに適度な粘性を与え、水分と味の成分(塩分・糖分・旨み成分)を均一に抱き抱えたまま凍らせる役割を果たします。これにより、水分子が大きすぎる結晶(=ガチガチの硬い氷)になるのを防ぎ、微細な氷の結晶が分散した「手で簡単にもみほぐせる、なめらかなシャリシャリ食感」を実現しているのです。また、この技術のおかげで、溶け始めから溶け終わりまで、味の濃淡がない均一なおいしさをキープできるようになっています。

この辺りに関しては、各メーカーその独自技術については情報非公開になっていますが、ここに並々ならぬ研究の努力が伺えます。

4. まとめ:冷凍術が日本の夏を、もっと美味しく、より楽しく!

気候変動による酷暑の長期化は、私たちの食卓にとって厳しい試練ですが、同時に食品メーカーの革新的な技術や、家庭での冷凍術を進化させるきっかけにもなっています。

「つゆを凍らせる」というアプローチは、単に料理を冷たくするだけでなく、「最後まで味が薄まらない」「シャリシャリとした未体験の食感や清涼感を楽しめる」「食卓がエンターテインメントのようになり、夏の食欲を刺激する」という、多くのメリットをもたらしてくれます。

今回ご紹介した市販の専用調味料を上手に取り入れながら、過酷な酷暑の夏を、美味しく、そして楽しく乗り切っていきましょう!

記事の監修者

西川 剛史
西川 剛史冷凍王子/冷凍生活アドバイザー
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高校生のころから冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍専門家として活動中。 冷凍王子としてテレビ番組「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス!」「王様のブランチ」「NHKごごナマ」など、その他テレビ、雑誌などに多数出演。
2016年8月には家庭での冷凍テクニックを理論的に体系的に学べる資格講座として「冷凍生活アドバイザー養成講座」を開講(運営 日本野菜ソムリエ協会)。冷凍テクニックをまとめた冷凍本のシリーズ累計発行部数は30万部を突破。
プロフィール詳細はこちら(https://vefroty.co.jp/profile/)