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キンレイ「お水がいらない大盛り 豚ラーメン」実食! 230gの太麺で楽しむ、300円前後の背徳系冷凍ラーメン

2026年9月2日

冷凍ラーメンの世界で、常に気になる存在なのがキンレイの「お水がいらない」シリーズだ。

鍋に入れて火にかけるだけ。スープをお湯で割る必要もなく、麺も具材も一体になっている。この圧倒的な手軽さに加え、名店監修やご当地ラーメンなど、味のクオリティにも妥協しない。2010年のシリーズ発売以来、累計販売数は2026年3月までに3億食を突破しているという、まさに冷凍麺の定番シリーズだ。

そんな「お水がいらない」シリーズから、9月1日に新たに登場したのが「お水がいらない大盛り 豚ラーメン」

これまでにも「横浜家系」「ラーメン横綱」「天下一品」など、さまざまなタイプの濃厚系ラーメンを展開してきたシリーズだが、今回はついに「背徳系」に踏み込んできた。

今回のポイントは、何といっても「大盛り」「背徳感」。麺量はなんと230gだ。

ラーメン店で二郎系を食べ慣れている人からすれば、300~350gくらい欲しいと思うところだろう。しかし、冷凍ラーメンで230gというのは堂々たる大盛り。一般的な冷凍ラーメンと比べても、かなり食べ応えのある麺量だ。

そもそも、この商品を作るうえで最初の大きなハードルになったのは、間違いなく麺量だったのではないかと思う。麺を増やせば当然、商品のサイズも重量も増える。さらに極太麺を使えば、家庭で調理する際の時間も問題になる。そこを230gまで持ってきたのは、かなり攻めた設計だ。

しかもキンレイといえば、あの「二段凍結三層構造」がある。

凍結したスープの上に麺、さらにその上に具材を重ね、もう一度凍結することで、スープ・麺・具材を一体化。鍋に入れて温めるだけで一杯が完成するという、同社ならではの技術だ。

今回の商品でも、この構造は健在。

袋から取り出すと、下に凍ったスープ、その上に230gの麺、さらにその上に具材が乗っている。

ただし、その具材はかなりシンプルだ。自社製の味付け背脂と、きざみにんにく。以上。

モヤシは入っていない。もちろんチャーシューも入っていない。

ここはちょっと意外だった。いわゆる二郎系の「豚ラーメン」をイメージすると、肉とモヤシがドンと乗っている姿を想像してしまうからだ。

しかし、これはむしろ「麺とスープに全振りした商品」と考えるべきなのだろう。そして、この潔さが価格にもつながっているのだと思う。

店頭では300円前後というリーズナブルな価格帯で販売される商品。コンビニのチルド麺などと比べても、かなり手を出しやすい価格だ。

「300円で大盛りの豚ラーメンを作る」というところからスタートして、足りない具材は自分で足していく。そう考えると、この商品設計は非常に面白い。

さて、実際に作ってみる。

心配だったのは、極太麺の茹で時間だ。普通に考えれば、これだけ太い麺を230gも茹でようと思えば、10分以上かかってもおかしくない。ところが、この商品は鍋で加熱するだけで完成するよう設計されている。

実際に調理してみると、合計7分程度で完成。公式の調理方法では、スープが溶け出すまで弱火、その後強火で加熱して麺をほぐしていく仕様になっている。この時間に収めたのは、かなりの努力の賜物だろう。

「専門店らしい極太麺を使いたい。でも家庭で10分以上も調理させたくない」。

そのせめぎ合いの中で、冷凍麺としての便利さを極限まで追求したことがうかがえる。

スープは濃厚な豚骨醤油。ただし、いわゆるドロドロ系というほど粘度が高いわけではない。むしろ醤油感を残しながら、油をしっかり効かせてパンチを出している印象だ。

そこに背脂が加わる。細かく均一な背脂ではなく、大ぶりで、プリプリとした食感を残したタイプだ。正直、数粒で寂しい感じはあるが、スープに溶け出さないように大ぶりで表現したんだなというメッセージが伝わってくる。

そして、麺についてだ。

キンレイは「ワシワシ食感の太麺」とうたっているが、実際に二郎系の店で食べるような、あの強烈なワシワシ感をそのまま再現できているわけではない。やはり家庭での調理時間を7分程度に抑えていることも影響しているのだろう。

ただ、十分に太く、麺そのものの張りもある。230gという量も相まって、食べ進めていくとかなりの満足感もある。むしろ、冷凍ラーメンでここまで太い麺を、これだけの量食べられるのかという驚きのほうが大きい。

そして、この商品を食べるうえで重要なのが、トッピングだ。何しろ、最初から入っている具材は背脂とにんにくだけ。だから、このままでは正直ちょっと寂しい。

基本的にはカスタマイズ前提で、好きなものを入れて食べれば良いと思う。私はモヤシを入れた。

最も簡単なのは、ネギを入れるだけ。これならほとんど手間もかからない。

もう少し本格的にいくなら、モヤシを茹でて山盛りにする。さらにチャーシューを用意すれば、一気に「豚ラーメン」らしいビジュアルになってくる。

キンレイ自身も、モヤシを乗せることで満足感がさらに増すと提案している。さらに溶き卵、マヨネーズ、カレー粉、チーズ、フライドオニオンなど、背徳感を増幅させるアレンジも推奨している。

つまり、この商品は「完成された一杯」を買うというより、「300円前後をスタート地点に、自分だけの二郎系を作る」商品なのだと思う。

モヤシだけなら安く済む。チャーシューまで豪勢に乗せれば、それなりの金額になる。

そこを自分の予算とこだわりで調整できる。これは、今までの「お水がいらない」シリーズとはまた違った楽しみ方だ。具材をあえて絞ることで価格を抑え、足りないものは自分で足す。300円前後という価格を考えれば、この割り切りはアリだと思う。

「お水がいらない」シリーズが、ついにここまでジャンキーになった。冷凍ラーメンの新しい方向性を感じさせる一杯である。

記事の監修者

井手隊長
井手隊長ラーメンライター
全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。
「東洋経済オンライン」「Yahoo!ニュース」「AERAdot.」等でラーメンの連載を年間100本ほど執筆。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。
その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。
著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。