おいしく、栄養価も高く、冷凍食品の中でも大人気の冷凍ブロッコリー。魅力ある食材ですが、電子レンジを使って解凍したときに、「水っぽい」「食感が悪い」など、うまく解凍できないという悩みを持つ方が多いのです。
そんな方に向け、今回は、冷凍ブロッコリーを電子レンジでおいしく解凍するためのポイントをご紹介します!
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電子レンジの仕組み
電子レンジは、マイクロ波を使って食材の中の水分(水分子)を振動させることで熱を生み、加熱するという電化製品です。
しかし、マイクロ波は凍った食品にはかかりづらいという性質があります。凍った状態ではなかなか温まらないのですが、細い部分や尖った部分は、分厚い部分より先にとけてきます。すると、その部分に集中してマイクロ波があたります。
この熱の偏りによって起こるのが、「エッジランナウェイ」と呼ばれる現象です。
エッジランナウェイとは?
エッジランナウェイのエッジは「縁」、ランナウェイは「熱暴走」という意味です。食材の尖った部分や細い部分に、電子レンジのマイクロ波が局所的にかかることで起こる現象です。これにより、過剰加熱や焦げ、あるいは逆に部分的に凍ったままなど、加熱ムラが引き起こされるのです。
まさにブロッコリーは、尖った部分や細い部分が多い形をしていますね。そのため、エッジランナウェイが起こりやすく、多くの方が電子レンジによる解凍に失敗しがちなのです。
エッジランナウェイが起きやすい条件には、以下のようなものが挙げられます。
①部分的に細い、尖っている部分がある
ブロッコリーの茎や枝のように、細く尖った部分がある食材。
②電子レンジにかける量が少ない
食材の量が少ないとマイクロ波のエネルギーが局所的に強くかかります。
③電子レンジのワット数が高い
ワット数が高いと、マイクロ波の集中点にかかる熱が増えてしまいます。
エッジランナウェイを防ぐ方法
エッジランナウェイを防ぐためには、以下のような方法が有効です。
①少量で電子レンジにかけない
目安として、少なくとも一度に100g以上は加熱するようにしましょう。
②水をかけ、ラップをして加熱
水をかけることで、食品ではなく水の部分にマイクロ波がかかりやすくなります。また、ラップをかけることで、蒸気で蒸すように解凍できて均一に温まります。
③電子レンジのワット数を低くする
500ワットまたは600ワット程度で加熱するようにしましょう。1000W以上での加熱はおすすめしません。
試しに、少量の冷凍ブロッコリーを耐熱皿に乗せ、ラップをせずにそのまま600Wで3分加熱をしてみると…。
細いところが焦げています。これが「エッジランナウェイ」です。
正しい電子レンジでの解凍の手順
それでは、冷凍ブロッコリーの正しい解凍の手順を見ていきましょう。
①少なくとも100g以上の冷凍ブロッコリーを、深さのある耐熱容器に入れます。
②ここでは冷凍ブロッコリー200gに対し、大さじ2の水をかけます。
③蒸気が逃げるように少しだけ隙間を空けて、ラップをふんわりとかけます。
④ワット数を600Wに設定し、3分10秒加熱します。
⑤お皿に盛って、できあがり!
冷凍ブロッコリーは、あらかじめ加熱をしてから冷凍してあるので、過剰に加熱をしすぎると食感が失われてしまいます。そのため、電子レンジは控えめにかけるのがおすすめ。また、加熱後に一度全体を混ぜると加熱ムラがなくなります。
冷凍ブロッコリー以外の注意点
他の冷凍食品でも、エッジランナウェイは発生します。
エッジランナウェイが起こりやすい食材は、まずは枝豆。少量でラップをかけないで加熱すると、焦げたり固くなることがあります。
ミックスベジタブルも形状が小さく、角ばったところが多いためエッジランナウェイが起こりやすい食材といえます。にんじんの角の部分などが、焦げやすいです。
餃子はヒダをつけて形成しているので、エッジの塊のような食材。ヒダの部分が乾燥しやすく、過剰加熱で固くなりがちです。特に冷凍餃子は、電子レンジで解凍するのが難しい食材なので注意しましょう。ちなみに電子レンジ対応の冷凍餃子の商品は皮に工夫があります。
尖った部分がない冷凍食品にも、この解凍方法はおすすめです。特に冷凍野菜は、表面の乾燥を防ぎながら電子レンジ加熱が実現できますので、ぜひ他の食材でも試してみてください。
ちょっと難しい話ですが…
もう少し詳しく解説すると、電子レンジのマイクロ波の吸収されやすさを「誘電損失係数」と呼びます。この数値が高いほどマイクロ波を吸収しやすく、より発熱しやすい=温まりやすいのです。氷はこの係数が非常に低いため、マイクロ波のエネルギーが伝わりにくく、氷がとけて水になっていくにつれて誘電損失係数が上がっていきます。
そして、水と氷だけではなく、食材に塩分や糖分が加わってくると、またマイクロ波があたりやすくなってきます。ですから、マイクロ波があたりやすいかどうかというのは、形状が薄いか分厚いか、塩分や糖分があるかないかなどがトータルで影響してくるのです。家庭の電子レンジで冷凍食品を温めたとき、上手く行ったり行かなかったりするのは、実はこういった、さまざまな条件がからんでいるのです。
市販されている食品は、開発段階で、加熱ムラやエッジランナウェイを考慮した調理方法を試行錯誤しながら作られています。そのため、パッケージに記載されたワット数や加熱時間を忠実に守ることが、失敗しないための基本! 市販の冷凍食品の解凍は、パッケージの調理の指示を守ることが、まずは大事です。
冷凍食品は、上手に使いこなすと日々の食事がより便利に、おいしいものになります。今回ご紹介した方法をぜひお試しいただき、活用してみてくださいね!