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冷凍術・レシピ

【解凍の極意】冷凍食材をおいしく食べる7つの方法

2025年1月17日

 冷凍食材をおいしく食べるには、解凍の仕方が非常に重要です。解凍に失敗し、食感や味が損なわれてしいまうと、お悩みの方も多いのではないでしょうか?

 そこで今回は、解凍の基本から具体的な7つの解凍方法まで、冷凍食材をおいしく解凍する「解凍の極意」を徹底解説! ぜひ参考にしてみてください。解凍を制するものは冷凍を制する!


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※動画で使用されている「解凍イメージグラフ図」や写真画像は「西川剛史のおいしすぎる冷凍レシピ(宝島社)」より引用しております。「写真協力:深澤慎平/宝島社」

解凍の基本は「魔の温度帯」を避けること

 まず解凍する上で大事なのは、2つの「魔の温度帯」避けるということです。魔の温度帯というのは、マイナス5℃〜マイナス1℃、10℃〜40℃の2つを指します。

マイナス5℃〜マイナス1℃

食品中の氷の結晶が大きくなる温度帯。この温度帯を長く通過すると、食品の組織が損傷し、食感が悪くなったり、ドリップが多くなったりする。

10℃〜40℃

常温付近の温度帯。組織を変化させる酵素反応が起きやすく、食品の色や食感にダメージを与えやすい。さらには、細菌の増殖が活発になるため、衛生リスクも高まる。

 
 これらの温度帯を「避ける」または「素早く通過する」ことが、解凍にはとても大切です。2つの温度帯を紹介しましたが、一番気をつけるべき温度帯は「常温」です。とにかく解凍は「常温」との戦いになります。この考え方をもとに、具体的な7つの解凍方法をご紹介していきます。

解凍方法① 加熱解凍

 凍ったまま一気に加熱する方法です。メリットは、高温で一気に解凍するため、2つの魔の温度帯を素早く通過できる点です。

 高温かつ短時間で加熱するのがポイントなので、炒める場合は、強火でフライパンで炒めましょう。ゆでる場合は、沸騰したお湯で短時間さっとゆでるようにします。

 凍ったまま調理可能なので、解凍を別途行う必要がないので手間がかかりませんし、調理が時短になるのもこの解凍方法のメリットです。食材は、主に野菜類や貝類、小分けした薄切り肉などに適しています。肉類は薄く冷凍されたものであれば加熱解凍でも良いですが、分厚く冷凍されたものは、表面だけ加熱され、中心部分が未加熱(生)の恐れがあるので、加熱解凍は向いていません。

解凍方法② 氷水解凍


 氷水を使って解凍する方法です。ボウルなどに水を入れ、そこに氷をたっぷり入れ、冷凍した食材を氷水の中に沈めます。水温は約1℃くらいになるため、常温の温度帯を避け、低温で品質を保ちながら解凍可能です。さらに、水は液体のため熱伝達率が高いので、素早く解凍することが可能です。
 食材は、主に肉や魚を、生の状態に戻すのに適しています。ドリップの発生も少なく、おいしさキープの面では氷水解凍はおすすめです。

解凍方法③ 流水解凍

 ボウルやバットに冷凍食材を入れて、水道の蛇口からチョロチョロと水を流しながら解凍する方法です。熱伝達率の高い水を使って、氷水解凍よりも高い温度で解凍するので、より速く解凍できるのがメリットです。

(※動画映像中「熱伝導率」と発言しておりますが、正しくは「熱伝達率」になります。訂正をさせていただきます。「熱伝導」は同じ物質内での熱の移動のことを指し、「熱伝達」は異なる物質間の熱の移動を指します。)

 ただし、水温が高く、常温の温度帯に入ってしまうので、どうしても品質の劣化が起こってしまいます。そのため、生の肉や魚は氷水解凍で、下味をつけたり加熱をしたりした肉や魚は流水解凍で行うのがおすすめ。その他、調理済みの野菜や加工食品など、多くの食品の解凍に向いています。


 氷水解凍と流水解凍は、保存袋の中に空気が残っていると空気が邪魔をして解凍がうまく進みません。そのため、冷凍する際にしっかり空気を追い出しておくことがポイントです。また、水温が高いので、解凍には時間をかけすぎず、解凍後はすぐ調理に使いましょう。

 氷水解凍と流水解凍は、空気を追い出して、さらに薄く平らに冷凍されたものには適した解凍方法です。市販品でも真空包装された商品が適します。しかし、空気が残っているものや分厚くブロック状のものは解凍に時間がかかり、解凍に使用している水の温度も上昇するため、これらの解凍方法は適さないので、次に紹介する冷蔵庫解凍をおすすめします。

解凍方法④ 冷蔵庫解凍

 
 冷蔵庫内でゆっくりと解凍する方法です。メリットは、低い温度で安定した解凍ができるところ。ただし、冷蔵庫の中の空気を使って解凍するので、氷水解凍や流水解凍などの水を使う方法に比べ、数時間、あるいは半日以上と時間が長くかかってしまいます。そのため、マイナス5℃〜マイナス1℃の温度帯を長く通過してしまうのがデメリットといえます。
 しかし、低い温度で安定した解凍ができるのは非常に大きな利点ですし、水を使った解凍では時間がかかりすぎる分厚いものや塊状の食品には冷蔵庫解凍がピッタリです。例えば、朝に冷凍庫から冷蔵庫に移し、夜に調理するなど計画的に料理をするときには、使いやすい解凍方法です。
 

解凍方法⑤常温解凍

 常温解凍は、基本的にNGの解凍方法だと思ってください。2つの魔の温度帯を長時間通過してしまうため、食品の劣化や細菌の増殖を引き起こしてしまうので、おすすめしません。

 例外として、パンや和菓子、冷凍枝豆など、自然解凍を前提として作られた食品は常温解凍OKです。ただし、常温解凍後はすぐに食べるようにし、長時間放置するのは絶対に避けましょう。

解凍方法⑥ 凍ったまま食べる

 これはもはや解凍をせず、冷凍状態のまま食べるという方法です。凍ったまま、もしくは半解凍で食べるので手間いらずですし、冷たい食感を楽しむことができます。

 フルーツはもちろん、野菜を凍ったまま食べるのもおすすめです。例えば、トマトやパプリカを凍ったままそうめんにトッピングしたり、長芋を凍ったまますりおろせば、ふわふわ食感の雪のようなとろろになります。

解凍方法⑦ 電子レンジ解凍

 電子レンジを解凍に使う方は非常に多いですが、実は凍ったものを解凍する方法としては適していません。電子レンジは、マイクロ波が食品中の水分を振動させることで発熱する仕組みです。これは解凍ムラが起きやすく、一部は凍ったまま、一部は加熱された状態などになってしまうことがあります。

 電子レンジを使う場合は、加熱解凍限定で使うのがいいでしょう。肉や魚、野菜であれば、耐熱ボウルなどに入れてラップをかけて、電子レンジで加熱します。ラップをかけることで蒸気が生まれるので、その蒸気を使って均一に全体を加熱することができます。量が多い場合は、途中で中身をかき混ぜて、加熱ムラを防ぎましょう。

食材に合った解凍方法を選ぼう

 解凍は奥深くとても難しいもので、解凍の方法によって、冷凍食材のおいしさや品質は大きく変わります。今回ご紹介した7つの解凍方法をぜひ参考に、食材に合った解凍を実践してみてくださいね!


記事の監修者

西川 剛史
西川 剛史冷凍王子/冷凍生活アドバイザー
高校生のころから冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍専門家として活動中。テレビ番組「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス!」「王様のブランチ」「NHKごごナマ」など、その他テレビ、雑誌などに多数出演。
プロフィール詳細はこちら(https://vefroty.co.jp/profile/)