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冷凍術・レシピ

徹底解説!「下味冷凍」で味が長持ちするメカニズム、おいしく冷凍保存するポイント

2026年2月24日

 皆さんは「下味冷凍」という冷凍テクニックをご存知ですか? 

 肉や魚などを調味料で味付けした状態のまま冷凍するという方法で、下味冷凍だけのレシピ本もあるほどブームにもなっています。


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下味冷凍の魅力とは?

 下味冷凍とは、食材と液体の調味料を入れ、下味を付けた状態で冷凍する方法です。解凍後または凍ったまますぐに使え、味付けも済んでいることから、調理時間を短縮できるとして人気です。世間一般でいわれる下味冷凍の魅力は、この「時短になる」ということです。

 しかし! 私からすると一番のメリットはそこではありません。

 実は下味冷凍は、冷凍保存で起こりがちな品質劣化を防ぎ、食材をよりおいしく、長く保存できるという大きなメリットがあります。本記事では、そのメカニズムを解説します。

(画像提供:旭化成ホームプロダクツ)

一般的な冷凍で起こること

 まずは、食材を普通に冷凍した場合に何が起こるのかを見てみましょう。

食材の乾燥、酸化、劣化

(画像引用:冷凍焼けしたマグロ/いますぐ食べたい!冷凍食品の本/自由国民社)


 冷凍中、食品の表面の水分は徐々に蒸発していきます。すると冷凍用保存袋の内側や食品の表面に霜が付きます。この食品中の水分が蒸発することで内部に空洞ができ、そこに空気が入り込むことで、酸化が進みやすくなります。水分は食品を酸素による酸化から守る役割を果たしています。水分が抜けてしまうと、たんぱく質や脂質が酸化し、風味や色、食感が損なわれてしまうのです。これが、いわゆる「冷凍焼け」と呼ばれる現象で、「冷凍臭」といった臭みや、茶色く変色するなどを引き起こしてしまいます。肉や魚などは特にこの冷凍焼けしやすいため、乾燥対策が重要になります。

氷結晶の肥大化

 肉や魚などは多くの水分を含んでいますが、冷凍するとこの水分が氷へと変化します。家庭用冷凍庫では「緩慢凍結(ゆっくり凍ること)」になるので、氷の結晶が大きくなりやすく、食品内の細胞組織を押し広げてしまいます。すると、解凍時にはダメージを受けた部分から、ドリップと呼ばれる液体が流出してしまうのです。

 ドリップには旨味成分や栄養素が多く含まれています。つまり、解凍時にドリップが多く出るということは、おいしさが失われているということ。また、ドリップが出ることで、水分が失われスポンジ状になるため、食感も悪くなります。また表面の霜が溶けることで、全体が水っぽくなりやすいというデメリットもあります。

下味冷凍は何が違うの?

 では、下味冷凍の場合はどうでしょうか。

 下味冷凍では、食材の表面が調味液でコーティングされた状態で冷凍されます。このひと手間が、冷凍中の変化を大きく左右します。調味液が凍ることで、食材表面に膜ができます。この膜が乾燥を防ぎ、水分の蒸発を防いでくれるのです。結果として、冷凍焼けのリスクを大幅に減らすことができます。

 また、調味料に含まれる糖分や塩分には、水分を保持する性質があります。これにより、氷の結晶がきくなるのを抑え、組織破壊を軽減できます。

 さらに、解凍後も糖分や塩分の保水効果によってドリップの流出を抑えやすくなるので、解凍後も食感が損なわれにくく、旨味やジューシーさをキープしやすくなります。特に肉類では、違いがはっきり現れます。

下味冷凍を成功させるポイント

 下味冷凍の効果を最大限に引き出すためには、いくつかのコツがあります。ポイントをご紹介していきましょう!

①調味料は液体を使うこと

素材の表面をまんべんなくコーティングできるので、調味料は液体を使うことがポイントです。

②糖分を含む調味料を活用

みりん、はちみつ、シロップなどの糖分を含む調味料は保水効果を高めます。糖分をバランスよく取り入れることが重要。

③油分もプラス!

オリーブオイルやごま油などの油分も、乾燥防止に役立ちます。油が表面を覆うことで、さらに乾燥を防いでくれます。

④塩分は控えめに

下味冷凍は味がじっくり浸透します。味が濃くなりすぎないよう、通常の調理よりも塩分はやや控えめに設定するのがおすすめ。

⑤しっかり混ぜる

食材と調味料を入れたら、必ずよく混ぜましょう。全体を均一にコーティングすることが、下味冷凍には重要です。

⑥薄く平らにして冷凍

冷凍用保存袋はできるだけ空気を抜き、封を閉じます。調味料でコーティングしていますが、袋の中に空気はできるだけない方が乾燥と酸化を防げます。そして、さらに薄く平らにして冷凍します。これにより凍結スピードが上がり、解凍時の解凍スピードも上げられるので、品質の低下を防げます。

下味冷凍で食材をおいしく長期保存!

 下味冷凍は単なる時短テクニックではなく、食材のおいしさを保ったまま長期保存が可能になる方法です。

 お肉をラップに包んで、冷凍用保存袋に入れて冷凍するのももちろんいいのですが、どうしても隙間ができるので、そこから劣化が起こりやすくなります。その対策として、下味冷凍は非常に理にかなった方法と言えるでしょう。

 
 正しい知識を持って活用すれば、冷凍保存はもっとおいしく、もっと便利になります。ぜひ日々の食事づくりに取り入れてみてください!


*具体的な下味冷凍レシピが知りたい方は以下の私のレシピを参考にしてください。

【レシピ】冷凍王子の下味冷凍レシピ

記事の監修者

西川 剛史
西川 剛史冷凍王子/冷凍生活アドバイザー
高校生のころから冷凍食品に興味を持ち、冷凍食品会社に就職。冷凍食品の商品開発などの経験を生かし、現在は冷凍専門家として活動中。 冷凍王子としてテレビ番組「マツコの知らない世界」「ヒルナンデス!」「王様のブランチ」「NHKごごナマ」など、その他テレビ、雑誌などに多数出演。
2016年8月には家庭での冷凍テクニックを理論的に体系的に学べる資格講座として「冷凍生活アドバイザー養成講座」を開講(運営 日本野菜ソムリエ協会)。冷凍テクニックをまとめた冷凍本のシリーズ累計発行部数は30万部を突破。
年間約1,000品の冷凍食品を試食し、累計1万品以上の冷凍食品を実食している。さらには全国の冷凍食品工場を累計80ヶ所以上を回る、冷凍食品工場マニアでもある。その経験を活かし、冷凍食品コンサルタントとして活動。
常に冷凍を切り口に新しい活動や事業を積極的に行っている。
プロフィール詳細はこちら(https://vefroty.co.jp/profile/)