私たちの食生活に、もはや欠かせない存在の冷凍食品。普段その製造の裏側を見ることはありませんが、冷凍食品の品質やおいしさを守るためには、高度な技術や機械が使用されています。
特に、冷凍食品製造に大きく貢献しているのが「急速凍結機」です。中でも「トンネルフリーザー」という急速凍結機は、多くの冷凍食品工場において使用されている、非常に重要な設備です。
今回は、ガリレイグループの食品工場研究施設・MILAB(ミラボ)を訪れ、実際の機械を見ながらトンネルフリーザーを徹底解説します!
▼▼ YouTubeの動画はこちら ▼▼
MILABでトンネルフリーザーを見学
MILABは最新の急速凍結機を見学できる研究施設。トンネルフリーザーが複数台設置されており、実際にどのように凍結が行われているのかを体験できます。
今回はタカハシガリレイの片山さんに、実物を見ながらトンネルフリーザーの仕組みを解説いただきました。普段なかなかお目にかかれない内部まで、じっくりお見せします!
トンネルフリーザーは、名前の通りトンネルタイプの急速凍結機です。食品をのせたコンベアがトンネル状のフリーザーを通過する間に、一気に、大量に、食品を凍らせていきます。
トンネル内はマイナス35℃からマイナス40℃という非常に低い温度になっていて、上下から風速18m/sの冷風を当てることで、食品を急速に凍結。これはエアブラスト方式と呼ばれる技術で、冷風を上下から吹きつけることで、風を利用して効率よく食品を凍結します。
MILABに設置してあるのはテスト機なので、トンネルの長さは7mほどですが、実際の工場では長さ何十mにも及ぶ巨大な装置になることも。これにより、一度に大量の食品を効率よく凍結することが可能になるのです。
そもそも、急速凍結がなぜ冷凍食品製造に重要なのでしょうか? 冷凍食品を作るうえで最も重要な工程の一つが、「食品をいかに早く凍らせるか」です。例えば家庭用の冷凍庫では食品の凍結に時間がかかり、食品内部の水分が大きな氷の結晶を形成します。この氷の結晶が食品の細胞を破壊し、解凍したときに味や食感を損なう原因となるのです。
しかし、トンネルフリーザーのような急速凍結機を使用すれば、この問題が解決! 短時間で食品を一気に凍結できるため、食品の細胞を壊さず、新鮮さをキープしながら凍結できるのです。家庭に届いた際にも風味や食感が保たれている、おいしい冷凍食品の裏側には、こういった技術や装置の存在があるのですね。
トンネルフリーザーの実演!
今回は実際に鮭を30匹ほど凍結するところを見せていただきます。先ほどの機械とは違い、コンベア部分が網目ではなくプレートになっていますが、これは商品に網目をつけないためにこのような仕様になっています。 鮭が庫内に入ると、すぐに表面が凍るほどに強力なパワーでどんどん凍結されていきます。30匹ほどの鮭が、約12分でカチコチになって出口から出てきました!
バラ凍結専用のトンネルフリーザー
IQF(Individual Quick Freezing)専用のトンネルフリーザーも見せていただきました。
IQFとは、食材をバラバラの状態で凍結する技術です。IQF専用のトンネルフリーザーは、コンベアの下から冷気を吹き上げ、食材を浮かせながら凍結させていきます。そのため、食材同士がくっつくことなく、個々に凍結されるという仕組みです。この機械を使うことでチャーハンやミックスベジタブル、ミンチ肉など、個々の食材がバラバラに凍結された冷凍食品が製造できるのです。
目の前で熱々のチャーハンを冷凍してもらうと、約50℃のチャーハンが約4分で凍結。私たちにもなじみ深い、バラバラ状態の冷凍チャーハンのできあがりです!
省スペースで設置できる「スパイラルフリーザー」
「スパイラルフリーザー」という別タイプの急速凍結機も発見! 食品がコンベアに乗ってくるくると上にのぼっていき、低い温度と、大型ファンからの風で急速凍結する装置です。
トンネルフリーザーは長さがあるので、広い設置スペースが必要になります。しかし、スパイラルフリーザーはその名の通りコンベアが螺旋状なので、省スペースでも設置が可能。コンパクトな設計ですので、工場のスペースが狭い場合でも、多くの食品を効率よく凍結することができます。
冷凍食品製造を支える機械の実力を実感!
私も全国いろいろな冷凍食品工場にお邪魔していますが、このトンネルフリーザーはあらゆる工場で使われていて、冷凍食品を作る上での下支えになっています。食品のおいしさ、新鮮さを守りながら大量に凍結できるこの装置があるからこそ、私たちは日常的に、高い品質の冷凍食品を手軽に楽しめるのです。
今回の見学では、トンネルフリーザーの詳細な仕組みや、実際に冷凍されていく流れを間近で見られ、非常に貴重な経験となりました。製造の裏側を知ると、改めて冷凍食品の面白さ、奥深さを実感できますね!
さらに詳細な説明は、記事内のYouTube動画で視聴できます。興味がある方はぜひ確認してみてください!