全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
今回紹介するのは、名古屋発の新たな“旨辛”ラーメンとして注目を集める「名古屋辛麺 鯱輪」。その看板メニューを自宅で楽しめる冷凍ラーメン「旨辛にんにくラーメン」は、いわば名古屋と宮崎、二つのご当地ラーメン文化のハイブリッド的な一杯だ。

ベースとなるのは、名古屋発祥の「台湾ラーメン」と宮崎発祥の「辛麺」。刺激と旨味の方向性が異なる個性派だが、この一杯はそれぞれの良さを巧みに融合させている。監修を務めるのは、名古屋メシの新たな潮流を作ってきた新山直人氏。台湾まぜそば発祥の店として知られる「麺屋 はなび」の総大将としての経験が、この商品にも色濃く反映されている。

まず特筆すべきはスープだ。豚骨、鶏骨、鶏ガラなどを軸に、ニンニク、ニンジン、タマネギ、生姜、長ネギといった野菜をたっぷり投入。さらに牛脂やラードなどの動物性油脂を重ね、醤油、みりん、清酒、砂糖で味を調えている。これらを強火で長時間煮込むことで、程よく乳化した甘みのある濃厚スープに仕上げている。

丼に注いだ瞬間、まず目を奪われるのはその“赤”。表面を覆う唐辛子の色味はかなり鮮烈で、見るからに辛そうだ。しかし、ひと口すすると印象は良い意味で裏切られる。辛味は確かにあるが、突き刺すような刺激ではない。豚と鶏のコク、野菜由来の甘みがしっかりと下支えし、「辛い」の後に確実に「旨い」が来る。辛味・甘味・香味の3種類の唐辛子を使い分けることで、単調にならない立体的な味わいを実現しているのだ。

さらに別添で大量の唐辛子が付いてくる。韓国産の唐辛子とのことだが、これも見た目ほど凶暴ではない。辛さをブーストしつつも角が立たず、スープの甘みと調和する。追い唐辛子を投入してもバランスが崩れないあたりに、設計の緻密さを感じる。

麺は冷凍麺を茹で、スープは湯煎するだけというシンプルな調理工程。手軽さはありながら、仕上がりは専門店の一杯に迫る。スープが麺にしっかり絡み、すすった瞬間にニンニクのパンチが鼻へ抜ける。そこに唐辛子の刺激が重なり、後味にはほんのりとした甘みが残る。この抜け感が実に中毒的だ。
特に印象的なのは、ニンニクの存在感。ガツンと前に出ながらも嫌味がなく、辛みと溶け合いながら食欲を加速させる。辛いのに箸が止まらない。汗をかきながらももう一口、もう一口と食べ進めてしまう。このやめられなさこそが、「鯱輪」の真骨頂だろう。
台湾ラーメンの攻撃力と、宮崎辛麺の奥行き。その両者を名古屋流に再構築した「旨辛にんにくラーメン」は、単なるご当地ミックスではない。緻密に計算された旨辛バランスが生み出す中毒性は、一度ハマると抜け出せない。
まさに冷凍庫に常備しておきたくなる一杯。辛いもの好きはもちろん、見た目ほど辛すぎるのは苦手という人にも試してほしい。真っ赤なビジュアルの奥に潜む、甘みと旨味の層。ぜひお試しあれ!





